第９７回「非線形・統計力学とその周辺」セミナーのご案内

日時：平成２０年１２月１５日（月）１４時から１５時３０分

場所：京都大学工学部８号館共同５講義室（吉田キャンパス）

講演者： 寺前　順之介　（理化学研究所　基礎科学特別研究員）

講演題目：
Noisy limit-cycle oscillators

講演要旨：

揺らぎを受けるリミットサイクル振動子に関する幾つかのトピックスを概説する．
まず揺らぎを受ける振動子に対する位相縮約を行う．これまで互いに矛盾する二つの
位相方程式が提案されて来たが，ここでは両者の関係を明らかにし，系に含まれる
複数の時間スケールを丁寧に扱う事で，両者を自然に含む一般的な位相方程式を
導出する．位相の確率微分方程式の応用とし，揺らぎ入力を共有する複数の振動子が
位相同期するnoise-induced synchronizationを簡単に紹介する．
noise-induced synchronizationは神経細胞におけるスパイク時刻の信頼性と関連付けられる．
さらにnoise-induced synchronizationを振動子集団へと拡張する．
集団間の位相差分布に関する自己無撞着方程式を導き，位相差分布，
スパイク時刻の信頼性が振動子間の結合にどう依存するかを明らかにし，
脳の情報表現に対する示唆を与える事を目指す．