「非線形・統計力学とその周辺」セミナーのご案内

第88回「非線形・統計力学とその周辺」セミナーのご案内

日時:平成19年12月3日(月)15時から

場所:京都大学工学部総合校舎102講義室(吉田キャンパス)

講演者:小林 幹(京都大学 情報学研究科 複雑系科学専攻)

講演題目:
カオス力学系における、動的相関(時間相関関数、大偏差統計関数)の近似的決定法

講演要旨:

時間相関関数は、カオス力学系において、揺らぎの特性を調べる上で基本的な量である。
さらに、大偏差統計量は、
時間的揺らぎのガウシアン統計あるいは非ガウシアン統計を記述する上で重要な量である。
よって、これらの量をカオスの基礎方程式から導出することは、
基本的かつ重要な問題である。しかし、
一般的には基礎方程式に含まれる非線形項が存在するため、
これらの量を導く系統だった方法は確立されていない。
最近、Fujisakaによりこれらの量を近似的に導く新しい方法が提案された。
この理論は、Moriの射影演算子法を、
考えている力学変数より広い空間への射影へと拡張することが本質的である。
本セミナーでは、この理論を簡単に説明した後、
様々なカオス力学系に適用した結果を報告する。

[1] H. Fujisaka, Prog. Theor. Phys. 114, 1 (2005)
[2] M. U. Kobayashi and H. Fujisaka, Prog. Theor. Phys. 115, 701 (2006)
[3] M. U. Kobayashi and H. Fujisaka, Prog. Theor. Phys. in press.