「非線形・統計力学とその周辺」セミナーのご案内

第61回「非線形・統計力学とその周辺」セミナーのご案内

日時:平成17年3月14日(月)午後4時より

場所:京都大学工学部総合校舎2階213講義室

講演者:上野嘉夫(京都大学情報学研究科数理工学専攻)

講演題目: Birkhoff-Gustavson標準化とその逆問題を巡って

講演要旨:

  Birkhoff-Gustavson(BG)標準化は非可積分ハミルトン系に対する
有力な解析手段のひとつであり,与えられた系の安定平衡点近傍の
正則領域をよく近似することが知られている.この意味で,BG標準化を
経て或る共通の系に帰着するハミルトン系の族を見出す問題は,
似通った正則領域を持つ系の族を見出す問題であり,講演者はこの問題を
「BG標準化逆問題」として提案している.2自由度の場合には,BG標準形に
ある系は幾何学的な方法で量子スペクトルを計算できることから,量子論の
レベルでは,BG標準化逆問題は一種の「等スペクトル問題」と捉えられる.
  本講演では,BG標準化逆問題を,その着想動機となったBG標準形
力学系の量子分岐を交えて紹介する.続いて,非可積分系に対する
手法であるBG標準化と,積分可能性の十分条件である変数分離可能性
との,逆問題における遭遇について報告する.また,逆問題に対する
数式処理アプローチなどの関連話題も交える予定である.