「非線形・統計力学とその周辺」セミナーのご案内

第60回「非線形・統計力学とその周辺」セミナーのご案内

日時:平成17年3月9日(水)午後1時30分より

場所:京都大学工学部総合校舎2階213講義室

講演者:上之和人(名古屋大学工学研究科計算理工学専攻)

講演題目: Renormalization-group and numerical analysis of a noisy Kuramoto-Sivashinsky equation in 1+1 dimensions

講演要旨:

Yakhotは, Kuramoto-Sivashinsky(KS)方程式の解の長時間, 
長距離での統計的性質が,
界面の成長を記述するKardar-Parisi-Zhang(KPZ)方程式
(あるいは, ノイズを持つBurgers方程式)
に一致することを予想した(1981). 実際に, 今回, 
ノイズをもつ1+1(空間+時間)次元のKS方程式に
動的くりこみ群を適用し, 
KS方程式のくりこみ群流れ方程式の固定点から決まる
スケーリング指数の値は, 
KPZ方程式のスケーリング指数の値に一致することを示した. 
空間1次元のKPZ方程式の場合には, 
揺動散逸定理が成り立つことが知られている.
ノイズをもつ空間1次元のKS方程式の場合にも, 
くりこまれた粘性とくりこまれたノイズの強さとの関係に
この定理が成り立つことを示す.

ノイズのないKS方程式のこれまでの数値計算では, システムサイズをいくら大きくしてもなかなかKPZの スケーリング指数が見出せなかった. しかし, 今回, ノイズを加えたKS方程式のくりこみ群の解析により, ノイズの強さが大きいほど早くKPZの固定点に 近づくことがわかった. 実際に, ノイズを加えたKS方程式の直接数値計算でも ノイズの強さを大きくすることによって, それほど大きくないシステムサイズと時間で, KPZのスケーリング特性を見出すことができた. (K. Ueno, H. Sakaguchi, and M. Okamura, Phys. Rev. E in press)