第50回「非線形・統計力学とその周辺」セミナーのご案内
日時:平成15年5月16日(金) 午後3時30分から
場所:京都大学工学部2号館1階101講義室
講演者: 中尾 裕也 (京都大学理学部物理学第一教室)
講演題目:
物理系における外部入力の統計的な情報表現について
講演要旨:
物理系を外部入力の情報を表現する媒体と捉える立場から、以下のふたつの系 を考察する。(1) 脳の神経細胞による外部刺激の情報表現のごく簡単なモデル である、外力を受けた大域結合位相振動子系、(2) 量子光学系などによる情報 表現のごく簡単なモデルである、熱浴に接した調和ポテンシャル中の一粒子系。 どちらの場合も、系による外部入力の情報表現の効率を、数理統計学において パラメータの推定精度に限界を与えるFisher情報量を用いて定量化し、それが 系の非定常状態において定常状態よりもずっと大きな値を取ること、つまり系 の動的な状態が情報表現において大きな役割を果たす可能性があることを示す。