第47回「非線形・統計力学とその周辺」セミナーのご案内
日時:平成15年2月13日(木) 午後3時から
場所:京都大学工学部総合校舎 4階 406室
講演者: 吉森 明 (九州大学 理学研究院物理学部門)
講演題目:
動的密度汎関数法の微視的導出
講演要旨:
動的密度汎関数法は、液体や溶液のような古典多体系の動的性質 をうまく記述するので、多くの現象に応用されている。それは、空 間スケールで1〜10オームストロング、時間で1〜100pt程の現象を記 述できる。 動的密度汎関数法の微視的導出については、様々な問題があり、 論争が続いている。川崎は森・藤坂射影演算子を使った非線型ラン ジュバン方程式の理論による導出を詳細に検討した。これに対して 最近、MarconiとTarazonaは、自分たちの導出と違う結果になるた めに、激しく批判している。特に彼らの導出した式には、ランダム 力が含まれない。 これらの論争に決着をつけるために、2つの射影演算子を使って 検討したところ、問題を解決することができた。森・藤坂射影演算 子を使った場合は、動的密度汎関数と違う自由エネルギー汎関数が 得られることが以前より知られている。その自由エネルギー汎関数 の具体的な形を任意の相互作用について、厳密に求めた。また、新 しい射影演算子(川崎・Gunton)を使って、動的密度汎関数と同じ定 義の自由エネルギー汎関数を含む式を得ることに成功した。ただし、 それはランダム力が含まれていない。さらに、密度場の揺らぎを記 述する新しい方程式も導出した。