第28回「非線形力学とその周辺」セミナー
日時:平成11年5月27日(木)午後1時から
場所 : 京都大学工学部2号館機械101室
講演者: 山口 義幸(京都大学情報学研究科数理工学専攻)
講演題目 : 多自由度ハミルトン系における相空間の構造と運動
分子、クラスターから宇宙の大規模構造までさまざまな興味深い現象が多自由
度ハミルトン力学系として記述することができ、またこれらの系ではしばしば
相関関数が冪的になるような遅い緩和が観測されている。そこでここでは、相
空間の構造(解軌道族の性質)やそれから導かれる運動の性質を調べることに
よって、異なるスケールで起こっている現象を統一的に理解することを試みる。
従来は近可積分系の性質を用いて説明されていたが、この説明は自由度が大き
くなるとともに困難になる。そこで本講演では新たに中間カオス系という概念
を導入し、(1)2次相転移を起こす系は臨界点付近で中間カオス系なっている
ことを示し、(2)リアプノフスペクトルを用いて解析を行った後、(3)相空間の
構造についての考察を行う。