「非線形力学とその周辺」セミナーのご案内
(Seminar on nonlinear mechanics)


第26回「非線形力学とその周辺」セミナー


日時:平成10年12月22日(火)午後1時30分〜3時


場所 : 京都大学工学部8号館2階共同2講義室

講演者:  井上政義(鹿児島大学理学部物理)

講演題目 : セル・オートマトンの計算万能性と結合系の臨界現象

適用:セル・オートマトンは、離散的な状態をとるセルが格子の上に配置されている系であ る。このように、この系の空間構造および状態は離散的であり、また時間も離散的に 変化する。そして、系の全てのセルの状態は同時に、ある同一のルールで決定論的に 更新する(同期的決定論的更新)。ルールとしては一般に局所ルールが用いられる。 局所ルールでは、あるセルの次の時刻の状態は、現時刻における自分の状態とその近 傍のセルの状態によって決まる。 セル・オートマトンの興味深いところは、簡単な局所ルールから系に複雑な運動が生 じることである。この複雑な運動が計算万能性をもつ場合があり、これはこの系にお ける顕著な創発(emergence)現象である。 この講演では、チューリング・マシンのセル・オートマトンへの埋め込みと、最近我 々が提起している2つの1次元セル・オートマトンを確率的に結合させた系で観測さ れる、カオス同調と同調近傍で観測される臨界現象について報告する。