第16回非線形力学とその周辺セミナーのご案内
(Seminar on nonlinear mechanics)



Date: 18th December, 1997, from 1:00pm
日時: 平成9年12月18日(木)午後1時より

Place: Room No.208 of building No.8 (lecture room 2)
場所 : 京都大学工学部8号館2階共同2講義室

Speaker : Tetsuro Konishi (Department of Physics, Nagoya University)
講演者: 小西 哲郎 (名古屋大学理学部)

講演題目 : 保存系カオスにおける動的構造の形成と崩壊

適用:
カオスは単に乱雑な状態を生成するだけではない。そこにはさまざまな構造の形成を見る事ができる。孤立した保存系も、一様な熱平衡とは異なる構造を持ち得る。われわれは、保存系における構造形成のかんたんなモデルとして、symplectic condition を満たす coupled map lattice をつくり、そこでの粒子のクラスター化という構造形成について調べた。

大域結合型の場合、系はクラスター状態と、熱平衡に対応する状態の二つの間を移り変わり、これらの状態は相空間内に2つの異なる chaotic sea が存在することに対応している。さらに、構造が形成・維持されているのは保存系カオスの普遍的特徴に依るものであることも分かった。これは、カオスによって構造が作られているとも言える。短距離結合型の場合はクラスターの構成の仕方により巨視的に区別できる状態が複数個存在し、系はその間を移りかわる。

構造を持った状態のライフタイム分布は(特徴的な時間スケールをもたない)べき的な振る舞いを示す。これは、多重安定な energy landscape を thermal noise で飛び移っている場合とは異なり、系の相空間構造によって系の長時間の振る舞いが支配されている場合の特徴を示していると思われる。